ズックにロック
4年前に作った『カタリナ』という短編映画の中に、手編みのマフラーという設定があった。
小道具として毛糸が必要だったのだが、さすがに普段から毛糸に関心を持たない人間が最寄の手芸店の場所を知っているはずもなく、オカリナを吹きながら白目を剥いてガニ股で高円寺の商店街を探して練り歩いたところ、ヤング向けのお店が立ち並ぶ中に一軒だけポツンと、可愛らしいおばあちゃんが一人で営む小さな小さな手芸店を発見。編み物を覚えたい旨を伝えて手頃な毛糸と編み針を選んでもらい、「やり方わかんなくなったら聞きに来てねー」と云ってくれたおばあちゃんの言葉に励まされ、一ヶ月かけてマフラーを一本編み上げた。
あれから4年。再び毛糸が必要になり、あのおばあちゃんが営む小さな手芸店に颯爽と毛糸を買いに行ったところ、お店が無くなっていた。何とも云えないこの気持ち。毛糸なんて別にその辺の百均行きゃ売ってるんだけど、なんだか…ねぇ。散歩道としてしょっちゅう歩いていると気づかないけれど、4年も経つと商店街の顔ぶれはガラっと変わってしまうものなのだ。
何とも云えないこの気持ちと花粉だけを除けば天気が良好だったので散歩をしてやったところ、そこでふと、歩きながら音楽が聴けたら良いな。と思い、ipodを買いに新宿に行った。
すげーすげー。すげーお洒落だねぇ。ipodって。こりゃ見てると欲しくなる。
友達が持っている一世代前のやつと違って、今出てるのってすげー小っちゃいんだ。
すげーすげーと云いながらアレコレ見ては回ったものの、色とか容量とか選択肢が多過ぎて決められず、専用のケースだけ買って帰ってきた。使い道が今のところ、無い。全く、無い。
話はガラリと変わるけど、今月で会社を辞めようかと思っている。撮影の日程調整が出鱈目に厳しく軽いノイローゼ気味なので、もういっそのこと映画を一本撮る為に無職になってしまおうという出鱈目且つ奇天烈なアイデアが浮かんだというわけだ。しかしすぐには辞めさせてもらえないと思う故、上司の怒りを買ってクビにしてもらうつもりでいる。28歳にもなって。
何か参考になる上司の怒らせ方はないものかと思い、そこはやはり東京東海大学の碑文谷教授でおなじみ、例の怒らせ方シリーズをyoutubeで検索したところ、非常に面白かった。
よって、この先極貧生活が予想されるこの昨今。
よって、ipodを買う予定は当分、無い。
買ってはみたものの、収める御本尊様を持たないipod専用のシリコン製のケースが、家に祭ってあるだけで使う予定の無いコンドームに似ているなと思い。部屋で一人、はにかんだ。
小一時間、はにかんだ。
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