チャイニーズ・デモクラシー
つい先日パソコンが壊れた。
よくわからんファイルをポチっと削除したらそれだけで起動しなくなっちゃうんだもの。
NECのサポートセンターに電話をして担当のオッサンに半ベソ状態で助けを懇願したところ、初期化するか、それが嫌なら修理業者を呼んでデータを復旧してもらうかの二択だと云う。
何を云うんだ貴様!
僕のハードディスクには書き溜めた脚本やら映像やら音楽やらエロ動画やらといった膨大な数の貴重品が詰まっている。特にこれまでの映像作品は金には代えられん僕の命のようなもの。初期化などとはとんでもない。僕の答えは決まっていたのですぐさま業者に電話をした。
「だいたいお幾らぐらいになりますかねぇ?」
「見てみないと何ともいえないですけど、データの復旧ですと6万~12万ぐらいですねぇ」
初期化した。
ああ、僕の全フィルモグラフィよ、さようなら。
全てをリセットし、また新たな気持ちで再出発した僕は、本日付けで運転免許も失った。
更新をしないまま丸一年が経過してしまったというカラクリ。
かつては飲料水を積んだトヨタの中型トラックでちょいと太めのワッパを握って田原街道を疾走し、右折左折を繰り返していた僕が今や車社会ではペーパードライバー以下なのである。
かつてはオリジナルカスタムを施したホンダの400ccアメリカンにまたがって伊那街道を疾走し、やはり右折左折を繰り返していた僕が今やママチャリ中学生と同等の扱いなのである。
まぁあれだ。多くの物を失う時期というのは何かを新たに得る時期とも云うじゃないか。
小室さん家の哲ちゃんなんかに比べりゃ僕なんてまだまだドン底から程遠い位置にいる。
しかし切ない。癒しを求めてクリスマスのイルミネーションを見に新宿まで繰り出した。
僕はクリスマスのイルミネーションが死ぬほど好きなのだ。この時期に街で山下達郎やワムやマライア・キャリーが聞こえてくるとそれだけで心の底からハッピーな気分になれてしまう。
純粋に楽しめないという人が結構多いけど、時期限定のイベントなのだから綺麗なものを見て綺麗だと喜んだ方が絶対に得だと思う。イチャつくアベックを妬むだなんて愚の骨頂だ。
寛大な気持ちでイルミネーション彩るタイムズスクエアを歩いていたところ、以前のバイト仲間であるキモという輩が背の低い可愛らしい女の子と手を繋いで歩いてきた。笑顔だった。
死ね!と思った。


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